【獣医師監修】目が赤くなっている!犬のぶどう膜炎の原因、症状や治療について解説します

愛犬の目を見たときに、「白目の部分が赤く充血している」「涙が多い気がする」「目を開けにくそうにしばしばしている」と感じたことはありませんか?

こうした目の異常は、もしかすると「ぶどう膜炎」という目の病気のサインかもしれません。

今回は、放置すると失明などを引き起こす可能性もある「ぶどう膜炎」に関して、解説します。

\この記事を書いた人/
湯田(獣医師)

湯田(獣医師)

幼少期から生き物や自然と関わることが好きで、昆虫や魚類、爬虫類と様々な生き物を飼育している。中でも10年間一緒に過ごした大型犬はもはや「妹」。獣医師として特に腫瘍の分野に力を入れたいと考え、日々勉強に励んでいる。甘党、ディズニー好きという女子っぽさもありつつ実は恐竜好き。

犬のぶどう膜炎とは?

犬のぶどう膜炎とは、様々な理由によって眼の奥にある「ぶどう膜」という部分で炎症が起きている状態を指します。

ぶどう膜は、「虹彩(こうさい)」「毛様体(もうようたい)」「脈絡膜(みゃくらくまく)」という3つの部分から構成されています。これらの部位で炎症が起こると、炎症を起こす物質や細胞が周りの組織へ影響を及ぼします。これが、「ぶどう膜炎」の正体です。

犬のぶどう膜炎ではどんな症状がある?

ぶどう膜炎の主な症状は、炎症と痛みによって引き起こされるものです。ここでは、ご家族の皆様が日々の生活の中で気が付きやすいサインをいくつかご紹介します。

目をしばしばする(眼瞼痙攣)

目に入る光の量を調節する虹彩に炎症が及び痛みが生じると起こります。

目をしばしばして開けにくそうにすることがあり、これを眼瞼痙攣といいます。

充血

白目の部分が赤く、血管が目立って見えます。

犬の上瞼をめくった時に、白目に数本の赤い血管が見える程度であれば正常の範囲内ですが、様々な太さの血管が何本も見えるようであれば、要注意です。目の充血に関してはこちらでもご紹介しております。

【獣医師が解説】犬の白目が赤い?充血の原因や考えられる病気、受診の目安について解説します

関連記事

【獣医師が解説】犬の白目が赤い?充血の原因や考えられる病気、受診の目安について解説します

涙や目脂の量が増える

炎症による目への刺激が強いと、涙や目脂の量がいつもより増えるといった症状がみられることがあります。涙や目脂に関しては以下の記事もご覧ください。

【獣医師監修】犬が涙を流すのはなぜ?原因と対処について解説します

関連記事

【獣医師監修】犬が涙を流すのはなぜ?原因と対処について解説します

犬や猫の目やにが出ている…原因とケアの方法を伝授します

関連記事

犬や猫の目やにが出ている…原因とケアの方法を伝授します

瞳孔が小さくなる

炎症によって虹彩が刺激を受けると、瞳孔がいつもより小さくなることがあります。

わかりづらい変化ですが、左右の目を見比べると瞳孔の大きさが違って見えることで気づきやすいかもしれません。

角膜が白く濁って見える

炎症によって角膜の透明感が失われることで、いつもより白く濁って見えることがあります。

犬のぶどう膜炎の原因 

犬のぶどう膜炎の原因は様々で、他に原因疾患が存在し、それに伴って発症する「続発性」、原因が特定できない「特発性」に分けられます。

続発性

目の疾患によるもの:

緑内障、白内障、リンパ腫、外傷、角膜潰瘍など

失明の可能性もある怖い病気!犬や猫の緑内障について解説します

関連記事

失明の可能性もある怖い病気!犬や猫の緑内障について解説します

うちの子、目が白くなってきた!?犬や猫でも白内障になるの?

関連記事

うちの子、目が白くなってきた!?犬や猫でも白内障になるの?

全身性の疾患によるもの:

糖尿病、ぶどう膜皮膚症候群、アデノウイルス、猫伝染性腹膜炎(FIP)など

特発性

ぶどう膜炎の原因となり得る他の疾患が見つからない場合

犬のぶどう膜炎はどのように診断する?

ぶどう膜炎の診断には、まずは問診や視診(見た目の評価)を行いますが、確実に診断するためには専門的な眼科検査が必要となります。

例えば細い光を目に当て、炎症の有無を調べる細隙灯(スリットランプ)検査、眼球内の圧力を測定する眼圧検査、網膜など目の奥にある組織の状態を調べる眼底検査、目の内部の状態を確認する眼球の超音波検査などが挙げられます。ぶどう膜炎を診断するだけでなく、なぜぶどう膜炎になってしまったのか、その原因も同時に探ることが重要となります。

犬のぶどう膜炎の治療は?

ぶどう膜炎の治療は、まず原因となる疾患が明らかである場合にはその原因疾患に対しての治療を行うことが効果的です。

さらに、目の炎症を抑えることを目的とした治療を行っていきます。ここでは、局所的な治療である点眼治療と全身的な治療に分けて解説していきます。

点眼治療

ぶどう膜炎の治療として、ステロイド成分が含まれた点眼薬や消炎鎮痛作用のある点眼薬を使用します。さらに、虹彩と水晶体の癒着(虹彩後癒着)を防ぐために散瞳作用のある点眼薬を使用していきます。

目の状態によっては、1日3~4回以上の高い頻度で点眼治療を行う必要がある場合もあります。点眼を頑張っているけれどなかなかうまくいかない…という方は、ぜひこちらもご覧ください。

犬や猫の目薬の差し方のコツを解説します!

関連記事

犬や猫の目薬の差し方のコツを解説します!

全身的な治療

主に内服薬による投薬治療のことを指します。

ぶどう膜炎の原因として、感染症や自己免疫性疾患など全身性の疾患が明らかである場合、それらの原因疾患に対して抗菌薬やステロイド、免疫抑制剤などを点眼治療と並行して行っていきます。また、点眼薬だけではコントロールできない重症例に対しても、内服薬を使用する場合があります。

ぶどう膜炎は、適切な治療を行わないと緑内障、網膜剥離、失明など深刻な合併症を引き起こす可能性もある怖い疾患です。

特に緑内障は眼圧が急激に上昇することがあります。緑内障は進行が早く、短時間で視力を失ってしまう可能性もあるため特に注意が必要です。治療を行う過程では定期的に眼圧を測り、状態が悪化していないかチェックしていく必要があります。また、ぶどう膜炎は一旦症状が落ち着いたように思えても再発することがあります。

症状が落ち着いた後も継続的に治療や定期健診を続けることが重要です。

まとめ

「目が赤く充血している」「涙や目脂の量が多い」といった症状の裏には、もしかすると病気が隠れているかもしれません。ぶどう膜炎の原因や経過は様々ですが、場合によってはその原因は目だけの問題ではないこともあります。

ぶどう膜炎を診断すると同時に、その原因疾患がないか全身を調べること、痛みや炎症を抑えるよう早期に治療を開始することがとても重要です。

小さな変化にも気が付けるように日ごろからよく観察していただき、少しでもいつもと違う様子や気になることがあればすぐに動物病院へご相談ください。

記事一覧に戻る