【獣医師監修】犬の熱中症の見分け方とは?初期症状・応急処置・予防法を解説
夏になると毎年増える犬の熱中症。
「ハァハァしているけど大丈夫?」
「散歩のあと元気がないけど熱中症?」
「どの症状が危険なサイン?」
このような不安を感じたことがある飼い主さまも多いのではないでしょうか。
犬の熱中症は進行が早く、重症化すると命に関わる非常に危険な病気です。重症例では死亡率が50%前後に達するという報告もあります。
しかし、初期症状に早く気付き、適切な対応を行うことで防げる病気でもあります。
今回は犬の熱中症の見分け方や症状、応急処置、予防法について解説します。


荻野 (獣医師)
動物とご家族のため日々丁寧な診療と分かりやすい説明を心がけています。日本獣医輸血研究会で動物の正しい献血・輸血の知識を日本全国に広めるために講演、書籍執筆など活動中。3児の父で休日はいつも子供たちに揉まれて育児に奮闘している。趣味はダイビング、スキーと意外とアクティブ。
熱中症の原因|犬はなぜ熱中症になりやすいの?
犬は人のように全身で汗をかいて体温を下げることができません。
主に、舌を出してハァハァと呼吸する(パンティング)、足裏の汗腺からわずかに発汗する
ことで体温調節を行っています。
しかし、気温や湿度が高い環境では十分に熱を逃がせず、体内に熱がこもってしまいます。
特に湿度が高い日は、気温がそれほど高くなくても熱中症になる危険があります。
熱中症を引き起こす主な原因
犬の熱中症は、以下のような環境で発生しやすくなります。
- ・真夏の日中の散歩
- ・長時間の運動やドッグラン
- ・エアコンを使用していない室内
- ・締め切った車内
- ・日陰の少ない屋外
- ・湿度の高い梅雨時期
特に車内温度は短時間でも急激に上昇するため、「5分だけだから大丈夫」は非常に危険です。
熱中症になりやすい犬の特徴
以下の犬は特に注意が必要です。
- ・フレンチブルドッグ
- ・パグ
- ・シーズー
- ・ボストンテリア
- ・高齢犬
- ・子犬
- ・肥満傾向の犬
- ・心臓病や呼吸器疾患がある犬
また、寒い地域原産の犬種や被毛の多い長毛種も暑さが苦手な傾向があります。

犬の熱中症はどんな症状?見分け方をチェック
犬では、暑いときや運動後に「ハァハァ」と呼吸するパンティングがみられます。パンティングは体温を下げるための正常な行動ですが、いつもより呼吸が速い、よだれが多い、ぐったりしているなどの変化がみられる場合は、熱中症の可能性があります。
熱中症は短時間で症状が進行することがあるため、初期のサインを見逃さないことが大切です。
軽度|呼吸が速い・よだれが多い
熱中症の初期には、以下のような症状がみられます。
- ・いつもより激しくハァハァと呼吸する
- ・呼吸が速くなる
- ・よだれが多くなる
- ・体が熱く感じる
- ・落ち着きがなくなる
- ・水をたくさん飲む
- ・舌や口の中が赤くなる
暑い場所にいたあとや散歩・運動後にこのような症状がみられた場合は、涼しい場所へ移動し、犬の状態をよく確認しましょう。
中等度|ぐったりする・嘔吐やふらつきがみられる
熱中症が進行すると、体温の上昇によって全身に影響が現れます。
- ・ぐったりして元気がない
- ・嘔吐や下痢をする
- ・ふらつく
- ・足元がおぼつかない
- ・呼びかけへの反応が鈍くなる
- ・自力で水を飲めなくなる
このような症状がみられた場合は、すぐに動物病院へ連絡し、受診してください。
重度|意識障害やけいれんは危険なサイン
さらに重症化すると、命に関わる状態になることがあります。
- ・意識がもうろうとする
- ・倒れて立ち上がれない
- ・けいれんする
- ・呼びかけに反応しない
- ・舌や歯茎の色が紫色になる
- ・意識を失う
重度の熱中症では、体温の上昇によって血液循環が悪くなり、脳や腎臓、肝臓など全身の臓器に障害が起こる可能性があります。
意識障害やけいれんなどがみられる場合は緊急性が非常に高いため、体を冷やしながら速やかに動物病院を受診しましょう。

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犬の熱中症は死亡することもある?
犬の熱中症は、重症化すると命に関わる危険な病気です。
体温が高い状態が続くと血液循環が悪化し、脳や腎臓、肝臓などさまざまな臓器に障害が起こることがあります。さらに重症化すると、多臓器不全や血液凝固異常などを引き起こし、死亡することもあります。また、熱中症から回復したように見えても、その後に臓器障害が明らかになる場合があります。
「少し休めば大丈夫」と自己判断せず、熱中症が疑われる症状がある場合は早めに動物病院へ相談することが大切です。
犬が熱中症になったときの応急処置
犬の熱中症が疑われる場合は、できるだけ早く体温を下げることが重要です。
- 涼しい場所へ移動する
まずは直射日光を避け、エアコンの効いた室内や風通しのよい日陰など、涼しい場所へ移動させます。 - 体を水で濡らして冷やす
体に水をかけたり、濡らしたタオルなどを使用したりして体を冷やします。特に首まわり、脇の下、内股などを冷やしましょう。 - 風を当てる
体を水で濡らした状態で、扇風機やうちわなどを使って風を当てると、気化熱によって効率よく体温を下げることができます。 - 飲める場合は水分を与える
犬に意識があり、自分で水を飲める状態であれば水分を与えます。
意識がもうろうとしている場合や自力で飲めない場合は、誤嚥する危険があるため無理に水を飲ませないでください。
応急処置によって症状が改善したように見えても、体内では臓器障害が進んでいる可能性があります。
動物病院へ連絡し、犬の状態や症状、暑い環境にいた時間などを伝えたうえで受診しましょう。

犬の熱中症を予防する方法
熱中症は命に関わることがありますが、日頃の環境管理によって予防できる病気でもあります。
- 室温と湿度を管理する
夏場はエアコンを使用し、犬が快適に過ごせる室温・湿度を保ちましょう。
留守番中も室温が上昇する可能性があるため、エアコンを使用するなど暑さ対策が必要です。 - いつでも水を飲めるようにする
新鮮な水をいつでも飲めるようにしておきましょう。
留守番中に水をこぼしてしまう可能性も考え、複数の場所に水飲み場を用意しておくと安心です。 - 暑い時間帯の散歩を避ける
夏場の散歩は、気温の高い日中を避け、比較的涼しい早朝や夜に行いましょう。
また、気温だけでなくアスファルトの温度にも注意が必要です。地面に近い位置を歩く犬は、人よりも地面からの熱の影響を受けやすくなります。散歩に出る前に実際に地面を触り、熱くなっていないか確認しましょう。 - 過度な運動を避ける
暑い時期の長時間の散歩や激しい運動は、体温上昇につながります。特に短頭種や高齢犬、肥満傾向の犬など熱中症になりやすい犬では、その日の気温や湿度、体調を確認しながら運動量を調整しましょう。 - 車内に犬を残さない
夏の車内は短時間でも急激に温度が上昇します。窓を少し開けていても安全とは限りません。短時間であっても犬だけを車内に残さないようにしましょう。

犬のお散歩時の注意点については、こちらの記事もご覧ください。
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【動物病院が教える】犬の散歩に必要な時間は?気温・マナー・注意点を解説します
まとめ|犬の熱中症は早期発見と予防が大切
犬の熱中症は、暑い日の散歩や運動だけでなく室内や車内など身近な環境でも起こる可能性があります。
熱中症は症状が急速に進行し、重症化すると命に関わることもあります。
暑い時期は室温や湿度、散歩の時間帯、水分補給などを意識して熱中症を予防しましょう。
「いつもと様子が違う」「熱中症かもしれない」と感じた場合は自己判断で様子を見続けず、早めに動物病院へご相談ください。
また、当院でも緊急時にも迅速に対応できるよう、日頃から備えを整えています。
当院による救命救急の取り組みについてはこちらの記事もご覧ください。
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ONE TEAMでつなぐ!救命救急を支えるALL動物病院の取り組みとチームの力
